平成4年8月1日に施行された借地借家法で、新たに設けられた制度。従前の借家法は、貸主側に特別な事情があっても、一時的に使用することを目的とする賃貸借と認められない限りは、すべてその終了時に正当事由が必要であった。
そこで、借地借家法は、【1】転勤、療養、親族の介護その他の本人の意思を超えたやむを得ない事情で不在となる場合、借地借家法38条、賃貸人の不在期間の建物賃貸借、【2】または契約により一定の期間を経過した時に建物を取り壊すべきことが明かな場合、同法39条、取壊し予定の建物の賃貸借に、建物を貸すことができそうな一定の期間だけ建物を貸し、期限がきたら正当事由の有無にかかわらず、建物を確実に返してもらうことができるという制度を創設した。
このような制度は、従来の借家法とは大きく権利関係が異なるものとなることから、契約を締結する際、次の要件が必要となる。
【1】については、a転勤その他のやむを得ない事情があること、bその事情により一定期間その建物を生活の本拠として使用しないこととなること、cその期間の経過後は建物を生活の本拠として使用することとなること、dやむを得ない事情を記載した書面により、契約を更新しない旨の特約をすること。
【2】については、a法令または契約により一定の期間を経過した時に建物を取り壊すべきことが明らかな場合であること、b建物を取り壊すべき事由を記載した書面により、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨の特約をすること。
いずれの契約についても、書面によることが、条文上要求されているので制度を利用するにあたっては、注意が必要である。特に【1】の制度は、サラリーマン等が転勤等で一時的に持家を貸す場合に利用できるため、リロケーションサービスとともに今後が注目されている。
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